採集に関する留意点

海水の温度は、特に気を使う必要は無いが、夏場など温度が上がりやすいときは、保冷材で大体の温度にしておき、発砲スチロールで覆う。もともとの水域の温度よりも、10度以上、上げ下げすると持ってる配偶子が使えなくなる。 また、海産動物における水質の悪化は致命的である。とくに老廃物は、水質を汚染するので、採集後、(出来れば一晩)流水中で腹の中の分を全部出させた方が良い。その日に持って帰るときは、いったんバケツなどにプールして、出来るだけ流水下で放置し(この間、帰り支度・お土産を買う・一服する等)、梱包する。密度は、あまり気にしなくても良いようだが、ホヤの2〜3倍量くらいを目安に、海水を入れておく。 移送に関して、ビニールなどに多目の海水と共に入れて、空気が入らないようにする。気泡があると、移送中にホヤにストレスを与える。個体数が少ない場合は、ペット・ボトルが便利である。すぐに帰れる場合には、とくに冷やす必要はない。三崎臨海は車で、移送してたので、発砲スチロールに入れておくだけだった。調子の悪いときは、途中の大量に死ぬときもあった。京大の佐藤研は、女川→京都までクール宅急便で宅配していた。 輸送してきたホヤの配偶子は、輸送中の温度変化によって、傷んでいる場合もあるので、いったん、全部ふかした後、照光下で再度配偶子を貯めさせた方が、受精にはよいと考えられる。出来ることならば、餌を十分にやった方が良いと思われるが、きちんとしたコントロールを取ったことはない。